それは11月28日、ワールドカップ・グループEの第2節、ドイツ対スペイン戦でのことだった。日本はその日のうちにコスタリカに敗れており、スペインが勝てば勝ち点6、得失点差+8以上で第3ラウンドに進出できる。
昇格
第1ラウンド
ぎゃくてん
日本に敗れたドイツも、この勝利で雪辱を果たしたいところだが、そうでなければグループ最下位から抜け出せず、自分たちの勝利に加えて、第3戦の日本対スペインも視野に入れなければならない。
しかし、試合は両者一歩も譲らなかった。ドイツの方が攻撃回数が多かったものの、83分に先輩ルーキーのニクラス・フュルクルグのゴールで同点に追いついた。 ロスタイム終了間際、ドイツ最速の男、交代出場のレロイ・サネがミリ秒単位の正確な走りでワンタッチのチャンスを作ったが、ボールをライン外に持ち出し、ゴールを逃した。が、ラインからボールを持ち出し、シャットアウトを逃した。最終スコアは1-1。
最終戦でコスタリカを4-2で下したものの、もう一方のスペインは......。
ぎゃくてん
グループ1位の日本、2位のスペイン、3位のドイツに敗れ、チーム史上初のワールドカップ2大会連続グループリーグ敗退という屈辱的な記録を塗り替えた。
サネが(否応なしに)注目の的となる一方で、この試合の対戦相手であるスペイン人GKウナイ・シモンが話題に上ることはほとんどなかった。しかし、シモンがサネに賭けた大胆な決断が、サネをオフサイドトラップを破った英雄から、わずか5秒足らずでフィニッシュを逃した熊へと追いやったのだ。
とはいえ、この攻撃はあまりに早く、2人の選手の選択を100%推測することはできないので、以下はやはり、2人の心の動きについての個人的な推測に偏ったものになるだろう。
サネは右膝を痛めながらワールドカップに臨んだ。大会前にドイツのチームを見ていなかったファンでも、膝のパッチを見れば少しは知っていたことだろう。
大した怪我ではなかった。
バイエルン
今大会全日程を欠場する可能性もある大怪我を負ったサネは、軽傷ではなかったが、日本戦を欠場した。スペインとの第2戦では、今シーズン最速のスプリンターであるこのドイツ人選手が、スペインのパスワークを崩すカギになるはずだったが、ハンス・フリックは、やはり負傷のために彼をベンチにとどめることを選んだ。
サネが右足を痛めたことだけはそれほど悪くなかったが、実は彼は左足の選手である。この試合では、3回ボールを持ったうちの2回を決め、重要なパスを1本出し、ゴールチャンスを3回作り、そのうちの1回は間接的にフュルクルグの同点ゴールにつながった。
しかし、スタッツが良くても、彼が最後の瞬間にチームの成功を築けなかったという事実を隠すことはできない。
当事者でない私たちは、膝の負傷がサネにどれほどの影響を与えたのか、正確に知る由もない。しかし、手や足を怪我したとき、無意識のうちに怪我をした手足にできるだけ力を入れないようにした経験は誰にでもあるのではないだろうか。
そのときのサネの心境というか潜在意識は、負傷した右足でシュートを打つなと言っていた。しかも、両足のタッチのセンスとシュートのセンスはあるとはいえ、右足は利き足ではない。ゴールが生死を分ける大事な場面で、サネほどのプロ選手であっても、無意識のうちに利き足でない足でシュートを打つことを避けてしまうのだ。
左足でニアポストを叩くか、右足でファーポストを叩くか。
サネは右足を痛めており、シモンはそれを知っていた。