プレミアリーグ
第29節、リヴァプールは本拠地アンフィールド・スタジアムでチェルシーと対戦し、ドイツ人監督ユルゲン・クロップとトゥヘルの戦術対決となった。リヴァプールのボール支配率は54.2%だったが、試合はチェルシーが主導権を握り、ファビーニョの見事なカットアウトからマウントがこの試合唯一のゴールを決め、チェルシーは勝利し、トップ4への躍進に貢献した。一方のリヴァプールはホームで5連敗、7試合連続の勝ち星なしと苦しみ、ファン不足でアンフィールドのマジックは消えてしまったようだ。
両チームのスタメンを見てみよう(出典:whoscored.com)
ヴェルナーはこの試合で、トゥヘル監督就任後初めて先発の矢面に立った。この戦術的配置は、ヴェルナーのスピードでリヴァプールの守備を切り裂き、彼がレッドブル・ライプツィヒ時代に得意としたカウンター攻撃の戦術をこの試合にも持ち込もうというトゥヘルの意図を表しているようだ。
両チームの平均順位(出典:whoscored.com)
リヴァプールがボールを支配したとき、チェルシーは5-3-2のフォーメーションを採用したが、ヴェルナーとジイェヒは前線のリヴァプール守備陣にあまりプレッシャーをかけなかった。前半、ヴェルナーのオフサイドと思われる攻撃とマウントの1ゴールは、いずれもロングパスと素早いカウンター攻撃によって、リヴァプールのディフェンスを苦しめた。
(出典:タクティカルボード・ドットコム)
ジョルジーニョはこの試合で6本、カンテは5本のロングパスを成功させたが、今シーズンの平均はそれぞれ3.4本と2.5本。このプレースタイルはチェルシーの攻撃の主軸でもあり、43パーセントが左サイドからのものだった。
マウントは常に左サイドを攻めていたため、間接的にリバプールの攻撃のリズムに影響を与え、TAAは途中から引いてセンターバックと3ガードディフェンスを形成せざるを得なくなり、サラーが得意とするインサイドフォワードの役割を果たせなくなり、右サイドでしかプレスをかけられず、突破できたのは試合全体で2回だけで、それもペナルティエリアの外という比較的脅威のない位置でのプレーだった。対照的に、マネは5回の突破を見せ、そのうちの3回はボックス内またはボックス手前で、プレースタイルもこれまでと大きくかけ離れてはいなかった。サラーは凡庸なプレーに終始し、後半途中でイオタと交代した。
ブレイクアウトに成功したポジション。青丸の外側の5つのブレイクアウトはすべてマネが記録した(出典:whoscored.com)
後半になると、チェルシーのテンポは落ち始め、TAAが攻撃に参加しようとプレスをかけたときに背後へボールを渡すだけになり、ヴェルナーがカウンターアタックを試みるのを許してしまった。リバプールにとっては、トレクァルティスタはチェルシーの3バックによって効果的に封じ込められた。リヴァプールはいつものようにゲーゲンプレス戦術を用いたが、チェルシーのパスコントロールに問題を起こすことはなかったし、守備のプレスが高すぎるこの戦術のせいで、ヴェルナーとマウントに効果的なカウンターを受け続けたとも言える。守備面ではチェルシーに狙われ、攻撃面では彼らのプレーが認められ、それでも他の解決策を見つけることができず、この試合で唯一シュートを放ったのは終了間際の突進だった。最終スコアは0-1だったが、クロップ率いるリヴァプールはこの試合、攻守両面でやや劣り、トゥヘル率いるチェルシーに負けたと言えるのではないだろうか。
リヴァプールはホームで5連敗を喫し、タイトルの夢を打ち砕かれただけでなく、今やチャンピオンズリーグ出場権すら危うくなっている。慣れ親しんだ戦術システムにこだわるクロップの結果は芳しくない。そのため、シーズン終盤に変化を加えてシーズンを救おうとするのかどうかが、リバプールの注目の的となる。
チェルシーはトゥヘル就任以来10戦無敗を続けており、この試合でプレースタイルを変えるという危険な賭けに出たトゥヘルは、リヴァプールの痛いところを見事に突いた。シーズン半ばのハネムーン期間」という疑問に対するトゥヘルの最高の回答は、チャンピオンズリーグでアトレティコ・マドリーを粉砕し、アウェーでリバプールを破った重要な2試合だった。チェルシーは現在4位につけているが、その後ろにはエヴァートンとウェストハムが1試合少ないので、いつ追い抜かれてもおかしくない。最近の調子が続けば、チェルシーはチャンピオンズリーグ出場圏内の有力候補になると私は信じている。