ビデオ・アシスタント・レフェリー（VAR）の使用は、世界的にほぼ常識となっている。しかし、レベルの低い大会や小規模な大会では、VARがないことが目立つようになった。それ以外の大会では、資金がある限りVARはどこにでもある。VARは人間が操作するものであり、ミスは避けられないが、大きなミスジャッジは珍しい。しかし、それに伴って新たな問題も生じている。審判やタッチジャッジがVARに依存するようになり、彼らの専門的な判断力が低下しているように見えるのだ。試合における重要な反則がVARの補助に頼ることが多くなり、この現象は広く論争を巻き起こしている。最近では、VARの影響力がさらに拡大されるというニュースも広まっており、審判のVARへの依存度も高まることを示している。
英紙『タイムズ』が明らかにしたところによると、今度のFIFA理事会の議題のひとつは、試合におけるVARの権限と適用範囲を拡大すべきかどうかを探ることだという。現在、VARは主にレッドカードやPK、ゴールに関連する反則に使われており、試合の流れに直接影響を与えることが多い。一度審判がフィールド上でミスジャッジを犯した場合、そのような致命的なミスが二度と起こらないようにするために、VARの役割は特に重要になる。FIFA理事会は、VARの権限をフリーキック、コーナーキック、2度目のイエローカードによる反則にまで拡大することを検討している。
コーナーキックやフリーキックは直接ゴールに結びつく可能性があるが、2枚目のイエローカードはレッドカードの引き金となり、間接的に試合の行方に影響を与える。とはいえ、ゴールに直結する反則は、試合結果により大きな影響を与える。フリーキックやコーナーといった反則へのVARの関与が増えれば、試合中断の回数が増え、試合時間が延びる可能性がある。特にフリーキックやコーナーが多い試合では、VARの介入回数が10回、20回を超える可能性もある。しかし、ゴールとそれに関連するイエローカードの罰則だけを考慮すれば、VARの介入はより集中したものになるだろう。
コーナーキック、フリーキック、2枚目のイエローカードがVARの管轄になれば、誤った反則は修正され、試合結果への過度な影響を避けることができる。しかし、試合中断の増加や試合時間の長期化、VARとレフェリー間のコミュニケーション問題などを招き、試合の整合性に影響を与える可能性もある。また、審判のVARへの依存度が深まることで、重要度の低いファウルだけに対応するために、審判の業務の一部がVARに引き継がれる可能性もある。この変化は、公平性と正義の追求と、試合の一貫性、スペクタクル性、不確実性の維持という観点から検討される必要がある。最終的には、ルール変更に関する投票の結果がこの変更の運命を左右する。FIFAは4票、イングランドの4つのサッカー協会はそれぞれ1票を持っている。ルール変更が6票差で承認されれば、新ルールが発効する。
